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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 030.マーダー&ジョーカー

サイギル族の剣士ココットは、肩を軽く回し、
手を握ったり開いたりを繰り返していた。

(……どうやら、痺れは取れたようね)

そして、ファルの雷拳による痺れが回復したことを
確認すると、すっくと立ち上がる。

(さて……どこに向かおうかしら)

ココットは地図を開きながら、考える。

ここはたしかA-2だったはずなので、
普通に考えればA-3の町が狙い目だろう。
他の参加者もまずは町を目指す者が多いはずだし、
そこを襲えば、上手くいけば一網打尽にできるかもしれない。

(……ただ、さっき戦った二人も
 町に行く可能性が高いのよね)

ココットは渋い顔で、先ほど戦った二人を思い出す。

(最悪の場合、アイツらに加えて他の参加者も
 相手にしないといけなくなるかもしれないし……。
 ちょっと悩みどころね……)

とはいえ、様子を見るというのもココットの性に合わない。

(ま、とりあえず行ってみようかしら)

小難しいことを考えるのが面倒くさくなって、
ココットはひとまず町を目指すことに決めた。

しかし、町に向かおうとしたココットの足はすぐに止まる。

「……隠れてないで、出てきなさい」

ココットは森の茂みに向かって、鋭い声を向ける。
やがて、その茂みから一人の人間が現れた。

「……別に、僕は隠れていたつもりはないよ。
 ちょっと後ろから脅かしてやろうかとは思ったけどね」

その姿は、青髪青服の前髪を伸ばした優男。
ジョーカーの一人、ツクモだった。

「……それで?貴方、殺し合いには……」
「乗ってるかどうかって?
 乗るも何も、僕はジョーカーさ」
「……!」

ツクモの言葉に、ココットはすぐさま剣を両手に構える。
それを見て、ツクモは軽く口笛を吹く。

「へぇ……すごいね、君。
 竜鱗の長剣二丁とは、良い物を引き当てたじゃないか。
 その胸当てもかなり良いものみたいだし、
 君はなかなか運が良いみたいだね」
「……殺し合いに巻き込まれて、
 運が良いも何もないでしょう」

ココットは忌々しげに吐き捨てながらも、
先制攻撃とばかりにツクモに向かっていく。

「おっ?いいねぇ!
 逃げるよりも向かってくるなんて、
 なかなか僕好みの対応だ!」

ツクモは笑いながら、両手に持った短剣で
ココットの鋭い斬撃を受け止める。

「ちっ……!」

攻撃をあまりにも軽々と受け止められたことに
ココットは舌打ちするが、このくらいは想定の範囲内。

ココットはツクモから一度間合いを離すと、大きく跳躍する。

「はああぁぁぁぁっ!!」

そして、落下と同時にツクモに両の剣を思い切り叩き付ける。

「はっ!そんな隙だらけの攻撃なんて……」

ツクモは馬鹿にしたように笑い、
軽く身体を捻ってココットの攻撃をかわす。

しかし、ココットの剣が地面に叩き付けられると
同時に、周囲を巻き込む大爆発が起こった。

「なっ……!?おわあああぁぁぁっ!?」

爆発に巻き込まれたツクモは、
悲鳴を上げながら吹っ飛ばされる。

「いてて……!くそっ……!」

ツクモは頭を振りつつ、ココットの姿を確認しようとするが、

「油断大敵ってヤツね、ジョーカーさん?」
「……げっ!?」

ココットは、既にツクモのすぐ傍まで間合いを詰めていた。

ツクモは慌てて間合いを取ろうとするが、
ココットはそれを許さず、斬撃の雨をツクモに繰り出す。

サイギル族が扱う竜剣技の一つ、瞬剣シラッカ。
凄まじい速さの無数の斬撃を放つ竜剣技の奥義の一つで、
これを回避できる者は皆無とさえ云われる秘剣だ。

(……殺ったっ!!)

ココットは確信する。
この距離、そして相手の体勢から考えて、
確実に相手を仕留めることができると。

しかし……。




次の瞬間、ココットは血を吐いて倒れていた。

「……がっ……!?」
「……やれやれ。まさか、初っ端から
 奥の手を使うことになるとはね」

背後から聞こえてきた声に、
全身を襲う激痛に呻きながらも
ココットは顔を上げて確認する。

そこには、少し不機嫌そうな顔で立つツクモの姿。

ほんの数瞬前まで、ココットの目の前で
体勢を崩していたはずのジョーカーの姿があった。

「……ぐ……うぅぅ……!」

ココットは混乱する。

何が起きた?
いつ攻撃された?
なぜ敵が後ろに?

ココットの脳が目まぐるしく思考を展開するが、
答えにたどり着く前に、敵の姿が近づいてくる。

「混乱しているみたいだねぇ?
 でも、悪いけど教えてあげないよ。
 君はここで僕に切り刻まれて死ぬんだ」
「ぅ、ぐっ……!」

ココットは起き上がろうともがくが、
傷が深いようで上手くいかない。
そんなココットに、ツクモは短剣を突きつける。

「……さぁ、良い声で鳴いてくれよっ!!」

短剣がココットに迫る。
しかしその瞬間、重傷のはずのココットがいきなり起き上がり、
振り返り様に素早く剣を横薙ぎ、ツクモの短剣を弾き飛ばした。

「なぁっ!?」

既に満身創痍で立ち上がることもできないと
思っていたココットが攻撃を跳ね返したことに、
ツクモは驚愕する。

実は、ココットは立ち上がろうともがくフリをしながら、
こっそりと懐に忍ばせていた治癒の霊薬で回復していたのだ。

そして、油断していたツクモの隙を突いて、
ツクモの武器を見事に弾き飛ばしたのだ。

ココットはそのまま、ツクモを仕留めんと追撃する。
しかし、そこで再び不思議なことが起こった。

「なっ……!?」

今までココットの鼻先にいたはずのツクモが、
瞬きのうちに3メートルほど離れた位置に移動したのだ。

驚愕に目を見開くココット。
それに対して、ツクモは舌打ちをする。

「ああ、くそ……!
 思わず、使っちまった……!」

ツクモは忌々しげに呟くと、戦況を不利と見たのか、
ココットに背を向けて逃げ出した。

ココットはそれを追うかどうか一瞬迷ったが、
先ほどの不可解な瞬間移動のことがあったので、
深追いはしないことにした。

やがて、ツクモの姿が見えなくなったのを確認すると、
先ほどツクモから弾いた短剣を回収つつ、考える。

(……あの男の瞬間移動、魔術を使ったにしては
 予備動作がなかったし、おそらくは先天性能力ね)

仕留めたと思ったら反撃を受けていたのも、
あの瞬間移動の力を使われたからだろう。

しかし、ココットはそこでふと疑問に思う。

(……移動はそれで説明が付くとして、
 気が付いたら攻撃を受けていたのは……?)

もし相手が背後に瞬間移動して攻撃したとしても、
ココットならそのことに気が付くはずだ。

しかし、あのときココットは攻撃を受けた後に
ようやく攻撃されたことに気が付いたのだ。

(……単純な移動能力ではないみたいね。
 ともかく、次に出会ったときは警戒しないと……)

もっとも、できれば二度と会いたくはないが。

ココットは胸中でそう締めくくると、
拾った短剣を予備の武器として腰に差した。




戦闘から逃走したツクモは後ろを振り返り、
相手が追いかけてこないことを確認すると、
移動するスピードを落として、一息吐く。

「……ええい、くそっ!
 獲物は仕留め損なうわ、能力のことはバレるわ、
 武器は失うわ、散々だよ畜生めっ!」

ツクモは苛立たしげに、近くの木を殴り付ける。

「……しかし、まいったな。
 参加者のレベルが思っていたよりも
 ずっと高そうだぞ」

ツクモは腕組みをして考える。

先ほどツクモが戦った褐色の女剣士は、連合全体で見ても
勝てる者はそう多くないほどの強さを持っていた。

参加者の平均レベルがどれくらいかは分からないが、
あの女剣士が参加者として存在している以上は、
少なくとも数人は同じレベル以上の強者がいるはずだ。

油断すると、ツクモといえど命を落としかねない。

(……ま、だからこそ狩り甲斐があるってもんだけどね)

ツクモはその風貌に似合わない、凶暴な笑みを浮かべる。

歯ごたえのある獲物だからこそ、
地に這いつくばらせて蹂躙するときの
快感がたまらないのだ。

(……さっきは不覚を取ったけど、
 次に会うときは勝たせてもらうよ)

ツクモは先ほど戦った褐色の女剣士に
胸中でリベンジを誓い、再び歩き始めた。


【A-2/森/1日目 1:00~】

【ココット@サイギル族】
[年齢]:16
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)
[武器]:竜鱗の長剣×2、ナヤマの短剣
[防具]:魔人の胸当て
[所持品]
・ココットの袋
 ・基本支給品一式×2
 ・塗装の魔石×2
 ・治癒の霊薬×1
[思考・状況]
1.全ての参加者を殺して生き残る
2.A-3の町を目指す
3.ジョーカーの優男(ツクモ)の先天性能力を警戒


【ツクモ@連合構成員】
[年齢]:24
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、能力消費(中)
[武器]:ナヤマの短剣
[防具]:ナヤマの胸当て
[所持品]
・ツクモの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.殺し合いを楽しむ
2.褐色の女剣士(ココット)と再戦する


『参加者・ジョーカーの現在地』
genzaichi_rowa030.png


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