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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 028.翼との邂逅

イリカと別れたティアは、森を北へと進んでいた。

目指すは、打倒ダレス。
師匠である炎帝の非道を止めるのだ。

ティアは燃え盛る決意とともに、その足を進めていた。
やがて、森を抜けると小さな村が見えてきた。

「村か……他の参加者がいるかもしれないし、
 寄ってみようかな」

それに、先ほどローパーにやられた傷も痛むし、
手当の道具があるなら、治療しておきたいところだ。

ティアはそう考え、村に立ち寄ることを決めた。




民家の中で支給品の確認を済ませたウルカとセレスは、
お互いの装備の割り振りについて話し合っていた。

「じゃあ、この槍は私が持つから、
 セレスはこっちの剣を……」
「私、手ガナイヨ?」
「……じゃあ、剣も私が持つわ。
 防具のほうは、胸当てと腕輪ね」
「私、腕モナイヨ?」
「……そうね。
 じゃあ、セレスには胸当てを……」
「コレ、ナンカごわごわシテ、ヤダ。
 うるかニアゲルヨ」
「……えっと、なら私が胸当ても腕輪も付けるけど……」
「ウン、ソレデイイヨー」
「……最後に、道具の魔石ね。
 私ばっかり貰ってても悪いから、
 魔石は全部セレスに……」
「私、手ガナイカラ魔石使エナイヨ?」
「…………」

そして話し合いの結果、
支給品はすべてウルカに渡されたのだった。

(……いや、確かにセレスも納得してるわけだし、
 これが一番合理的なのかもしれないけどさ……)

嬉しそうにニコニコしているセレスを見ていると、
何となく罪悪感を感じてしまうウルカだった。

ウルカは複雑な表情でセレスを見ていたが、
次の瞬間……。

「たのもーっ!!」

ウルカの後ろの扉がいきなり大きな音を立てて、開かれた。

「なっ……!?」

ウルカは仰天しつつも、後ろに下がってから槍を構える。
セレスもびっくりしたのか、ウルカの後ろに隠れており、
それを確認したウルカはセレスを庇うように前に出る。

民家に入ってきた黒い影は警戒するウルカたちに向かって、
大きな声で話しかけてくる。

「待ちなさいっ!私は殺し合いに乗ってないわっ!
 私は師匠を止め、この殺し合いを止め、
 主催者を叩き潰すことを目指しているのっ!」
「じゃ……じゃあ、なんで『たのもーっ!!』なんて
 大声で叫びながら入ってきたのよっ!?」
「それは、私が格闘家だからよっ!」
「意味わかんないわよっ!?」

ウルカは突っ込みながらも、目の前の黒い影を観察する。
それは漆黒の衣を身に着けた短い赤髪の少女だった。

漆黒の衣は支給品なのだろう。
その姿は完全に夜の闇に紛れて溶け込んでおり、
これを着て不意打ちをされたら、一溜りもないだろう。
……この少女のように、大声で派手に登場しない限りは。

相手がアホで助かったと思いつつ、ウルカは鋭い声で問う。

「……まぁ、アンタの目的なんてどうでもいいわ。
 そんなことより、アンタ……人間よね?」
「?……それが、何よ?」
「……だったら、私たちとは相容れないわね。
 見ての通り、私は忌み子でこの子は精霊。
 悪いけど、ここで仕留めさせてもらうわ」
「……むっ!?」

ウルカから殺気を感じた黒い影……ティアは咄嗟に身構える。
ウルカは槍をティアに真っ直ぐ突き出し、全速力で突き進み……。

「待ッテ、うるか!」
「な、ちょっ……へぶっ!?」

しかし、後ろからセレスがウルカの足にしがみついたため、
顔面から床に思いっきり叩き付けられた。

「い、いったぁ……!何すんのよ、セレス!?」
「ゴ、ゴメン……!
 デモ、コノ人ハ私タチヲ見テモ、
 問答無用デ襲イ掛カッテコナイヨ?
 モシカシテ、話シ合エルンジャ……」
「そんなもん、こっちが二人だからに決まってるでしょっ!?
 人数的に不利だから、警戒して襲ってこないのよっ!」
「デ、デモ……」
「うっさいっ!いいから、アンタは黙っときなさいっ!」
「キャウっ!?」

ウルカがセレスにげんこつを食らわして黙らせる。
涙目になって頭を押さえて蹲るセレスに背を向けて、
ウルカは再びティアに向かって戦闘態勢を取る。

ティアは目を細めて、ウルカに言葉を向ける。

「……やめときなさい、アンタじゃ私には勝てない。
 確かにアンタたちは人間じゃないみたいだけど、
 そんなに悪いヤツじゃなさそうだし、
 人間に危害を加えないなら見逃してあげるわ」
「っ!……馬鹿にするな、人間っ!!」

ティアの言葉に激昂して、ウルカはティアに向かっていく。

ウルカの槍がティアに向かって鋭く突き出されるが、
ティアは突き出された槍を手で軽く払い除け、
交差するウルカの首筋に手刀を打ち込む。

しかし、ウルカはそれを姿勢を低くして回避し、
今度は槍の石突きでティアに攻撃してきた。

それを回避しつつ、ティアは少し意外そうな顔をする。

(……思ったよりやるわね、コイツ)

この翼を持つ少女、華奢でたおやかな外見の割には
それなりの戦いの心得を持っているようだ。

ティアがそんなことを考えている間にも、
ウルカは雄叫びを上げて猛攻を仕掛けてくる。
それを捌きながら、ティアは舌打ちする。

(ちっ……!手加減して勝てる相手じゃないみたいね……!)

ティアは「死ぬなよ」と心の中で呟きながら、
槍を突き出したウルカのふところに飛び込んで、
その無防備な鳩尾に掌打を叩き込んだ。

「がっ……!?」
「とりあえず、寝ときなさい」

ティアのその言葉とともに、ウルカの身体が崩れ落ちた。
それを見て、セレスが悲鳴を上げてウルカに駆け寄る。

「うるかっ!?」
「大丈夫よ、(ほんの少しだけ)加減したから。
 しばらくすれば、目を覚ますと思うわ」
「ホ……本当?うるか、死ナナイ?」
「死なない、死なない」

セレスは安心したようにほっと息を吐く。
それを見ながら、ティアはさてどうするかと考える。

(……この白い翼のほうは聞く耳持たない感じだけど、
 こっちのハーピーは少しくらいは話が通じそうね。
 橋渡し役になってもらうのもアリかもしれないけど……)

しかし、ティアとしては一刻も早くダレスを探したいのだ。
わざわざ説得に時間をかけるのも気が進まない。

「……ねぇ。アンタ、赤髪に赤服の男を見なかった?」
「エ?見テナイケド……」
「そう……そっちの子は?」
「タブン、うるかモ見テナイト思ウ」
「……そっか、ありがと。
 お礼に教えてあげるけど、その男は危険よ。
 命が惜しければ、近づかないことね」

聞くべきことは聞いたと、ティアはその場から去ろうとする。

「アッ!?待ッテ!」
「……何か用なの?
 その気絶してるほうは私が嫌いみたいだし、
 あまり長居しないほうがいいと思うんだけど」

引き止めたセレスを訝し気に見るティア。
そんなティアに構わず、セレスは駆け寄ってくる。

「……貴女、怪我シテルデショ?」

心配そうに聞いてくるセレスに、ティアは目を丸くする。

「は?いや、確かにそうだけど……何で?」
「うるかト戦ッテル時、動キガ少シオカシカッタカラ」

あの戦いで怪我を見抜かれたことも驚きだったが、
ティアが聞きたいのはそんなことではない。

「いや、そういうことじゃなくて……
 なんで、アンタが私を心配するのよ?」
「?……ダッテ、貴女、怪我シテルカラ」
「だから、そうじゃなくて……」

要領を得ない答えに、ティアは尚も聞き返そうとしたが、
セレスのきょとんとした顔を見て、理解する。

(ああ……コイツ、お人好しなんだ……)

この鳥の精霊は底抜けの善人なのだ。
場合によっては魔物扱いされる精霊でありながら、
このハーピーの少女の心は眩しいほどに澄み切っていた。

「……大丈夫?ヤッパリ、怪我ガ痛ムノ?
 ソレナラ、うるかノ持ッテイル魔石デ……」

呆れた様子のティアを傷が痛むからだと勘違いして、
セレスはウルカの袋から翼で不器用に魔石を取り出そうとする。

「……ああいや、大丈夫よ。
 ちょっと休めば、治るから」
「ソウナノ?ジャア、セッカクダカラ
 ココデ休ンデ行ッタホウガイイヨ!」
「…………」

笑顔のセレスを見て、ティアは一瞬躊躇するが、

「……じゃあ、そうさせてもらおっかな。
 ただし、そっちの白いほうが目を覚ました時、
 暴れないようにしっかりと説得してよね?」
「ウン、分カッタ!」

結局、ティアはセレスの笑顔に押される形で
この場で身体を休めることにした。

(……まぁ、白いほうは人間に敵意を持ってるし、
 ここで私がちゃんと見張ってないと危ないか。
 幸い、このハーピーが間を持ってくれれば、
 話し合いの余地はあるだろうし……)

師匠を探して止める、と息巻いたところで
見つかるのが早まるわけでもない。
この辺で身体と心を休めて、一度落ち着くのもアリだろう。

ティアは部屋の隅に腰を下ろして、身体を休め始めた。


【D-4/村/1日目 1:00~】

【ウルカ@忌み子】
[年齢]:16
[状態]:気絶、ダメージ(中)
[武器]:シルフの槍、炎の剣
[防具]:慈愛の胸当て、再生の腕輪
[所持品]
・ウルカの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の魔石2種  ※少なくとも一つは回復の効果)
[思考・状況]
1.セレスと一緒に行動する
2.殺し合いから脱出する
3.人外の参加者(忌み子、精霊)を仲間にする


【セレス@鳥の精霊ハーピー】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・セレスの袋
 ・基本支給品一式
[思考・状況]
1.ウルカと一緒に行動する
2.殺し合いから脱出する
3.人外の参加者(忌み子、精霊)を仲間にする


【ティア@格闘家】
[年齢]:15
[状態]:ダメージ(中)
[武器]:なし
[防具]:宵闇の衣
[所持品]
・ティアの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.師匠(ダレス)を止める
2.とりあえず身体を休める


『参加者・ジョーカーの現在地』
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