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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 037.城内探索

ボルクとツクモという二人のジョーカーを
隠れてやり過ごしたナヤマ一族のヒカリ。

城から移動を始めたはずのヒカリだったが、
何故か彼女は未だに城の中にいた。

その理由は単純だ。
城を出て夜の森に入ってみたら予想以上に暗かったので、
怖くなってすぐに城に逃げ帰ってきたのだ。

「よ……よく考えたら、もう怖い人はいなくなったんだから、
 慌てて移動する必要もないよね……。
 それに、まだこのお城をちゃんと探索してなかったし……。
 もしかしたら、お城の中にホノカたちがいるかもしれないし……」

誰も聞いていないにもかかわらず、ボソボソと言い訳をするヒカリ。

しかし、森ほどではないが、城の中は城の中で不気味だ。
明かりはあるにはあるが、夜の闇を照らすためには十分とはいえず、
光の届かない隅のほうは恐ろしい暗闇に満ちている。

「…………」

帰りたい、とヒカリは涙目になって思う。

なんで自分がこんなことに巻き込まれなければならないのか。
自分なんて、隠れるくらいしか能のない落ちこぼれだというのに。

そんなことをしばらくウジウジと考えていたヒカリだが、
ふと自分が未だに支給品を確認していなかったことに気が付く。

(……まぁ、強力な武器とか支給されてても
 私じゃ扱えないと思うけど……)

ヒカリは特に期待せずに袋の中身を確認する。

「?……これって……包丁?」

袋から出てきた武器は、ヒカリの言う通り包丁だった。

「ん~……これなら私でも何とか扱えるし、
 透過の力で不意を突けば、いけなくもないかな?」

ヒカリはそう呟くが、すぐに自分の物騒な考えに顔を青くする。

(ふ……不意を突くって何言ってるの、私……!?
 こ……殺し合いなんてするつもりないのに……!)

自衛のためなら不意を突く必要などないはずだ。
ヒカリはぶんぶんと首を振って、先ほどの考えを振り払う。

気を紛らわすために、ヒカリは次の支給品を確認する。

「……盾……ミスリル製かな?
 道具は……治癒の魔石が3つかぁ。
 でも私、ヒーリング使えるしなぁ……」

支給品の内容に、ヒカリは落胆する。

余談だが、この世界では魔法の才能を持つ者は、
一つくらいなら魔法を簡単に覚えることができる。
ヒカリもヒーリングの魔法を覚えており、自力で傷を治せるのだ。

そんなヒカリにとって、治癒の魔石はハズレの部類である。
ヒカリが魔力を消耗したときには使えなくもないだろうが、
そもそも戦闘能力の乏しいヒカリでは怪我を負う状況に陥った場合、
そのまま死んでしまう可能性が高いのだ。
ヒカリが生きているうちに治癒の魔石が活躍する機会は
おそらく来ないだろう。

「……盾もなぁ……これで攻撃を防ぐより、
 逃げたほうがずっとマシだろうし……」

ヒカリは溜息を吐く。
自分に都合の良いものが運良く支給されているわけもないが、
もう少し使いやすいものが欲しかったところだ。

「……ま、いっか。どうせ何が入ってたって、
 私じゃ大したことはできないんだし……」

ホノカたちと合流したら渡せばいいや、と結論付けて
ヒカリは改めて城の探索を再開する。

まず、一階。
兵士や使用人の部屋、訓練場や食堂、会議室、書庫などの
様々な部屋があり、一回りするのにも苦労するほどに広かった。
しかし、苦労とは裏腹に得られたものは少ない。
兵士の部屋や訓練場には武具の類は置いておらず、
食堂でも食料は見当たらず、あったのは調味料程度だ。
一応回収はしておいたが、この殺し合いの中で
調味料が役に立つときが来るのかは疑問である。

次に、二階。
一階と比べると広さはそれほどでもなく、
玉座や貴人のための豪華な部屋がいくつかある程度だった。
どうやら、主立った部屋は一階に集中しているようだ。

三階以降も同じように豪華な部屋が続くだけで、
この場で役に立ちそうなものは置いていなかった。

そして、地下室。
一階の東西の階段から入ることができたが、
東は保存用の倉庫、西は牢屋のようだった。
もちろん倉庫には何も保存されておらず、
牢屋にも誰もいなかったが。

城の中をある程度探索したヒカリは若干の疲れを感じて息を吐く。

「……後は、あの塔くらいかな」

ヒカリは一階に戻って内庭に出ると、その隅に立つ塔に目を向ける。

(鍵がかかってるみたいだから後回しにしたけど……
 逆に言えば、ここだけ鍵がかかってるんだから、
 何かすごいものが隠されてるのかも……)

ヒカリは透過の力を使い、鍵穴の構造を透視しながら
適当な部屋から失敬してきた針金で解錠を試みる。

そして、しばらく苦戦したものの見事鍵を開けることに成功した。

「えへへ……私の力も捨てたもんじゃないね……」

落ちこぼれなヒカリとしては、自身の力がこうして
役に立つとどうしても嬉しくなってしまう。

自然と頬が緩んでくるが、塔の中に何があるか分からないのだ。
表情を引き締めて、ヒカリは塔の扉を開けた。




中に入ったヒカリの目に飛び込んできたのは、
大きな魔法陣だった。

「……何だろう、コレ?」

ヒカリは魔法陣の周りをぐるぐると回って観察してみる。
しかし、いくら注意深く穴が開くほど魔法陣を睨み付けようとも、
魔法関係の知識に疎いヒカリには何も分からなかった。

「……えいっ」

次にヒカリは内庭から拾ってきた石を魔法陣へと投げ入れてみた。

「…………」

しかし、何も起こらない。
ヒカリはしばらく躊躇していたが、意を決して魔法陣に足を踏み入れる。

「……っ!」

緊張で身体を硬直させて、息を呑むヒカリ。
しかし、ヒカリの覚悟とは裏腹に魔法陣は何の反応も示さなかった。

「……あ……あれ……?」

拍子抜けしたヒカリは、首を傾げる。

(……もしかして、この魔法陣って何の意味もないのかな……?)

広い城の内庭に、鍵のかかった塔。
そして、その中に意味ありげな魔法陣。

これだけのシチュエーションを揃えておいて『何も起きませんでした』では、
ヒカリでなくとも失望を感じることだろう。

(……いやいや、待って待って。
 もしかしたら、魔法陣が起動するためには
 何か条件が必要なのかも。
 アイテムとか、呪文とか、生贄とか……)

ヒカリは魔法陣を起動させるために必要なものについて考え始めるが、
ふと壁に貼られた説明文のような文字に気が付いた。

「……なんだ、説明書きあるんだ……どれどれ……」

壁の文字には次のようなことが書かれていた。
『この魔法陣に首輪を捧げると、他の魔法陣へと転移することができる』

魔法陣の説明書きを読んだヒカリは首を傾げる。
他の魔法陣とは、おそらくこの魔法陣の他にも
この殺し合いの場に魔法陣が存在するのだろう。

しかし、首輪を捧げるという意味がよく分からない。

「……首輪って、今私の首に嵌まってるヤツのことだよね?
 でも、自分の首に嵌まってるものを捧げるのは無理だし……」

ヒカリは魔法陣の用途について考え、思い当たったことに顔を青くする。

「……まさか……他の参加者を殺して、
 首を斬り取って奪えってこと……!?」

おそらく、その通りだろう。
なんて恐ろしいことを考えるのだ、この殺し合いの主催者たちは。
いや、殺し合いなんて主催している時点で十分恐ろしいのだけれど。

そして、ヒカリはさらに恐ろしいことに気が付く。

この魔法陣が首輪を捧げることで他の魔法陣へ転移できるのなら、
逆に他の魔法陣からこちらへと転移することも可能なはずだ。

……だとすると、人の首を斬り取るような殺人鬼が
ここに転移してくる可能性があるということではないのか?

「ひっ……!?」

ヒカリは息を呑んで魔法陣から後ずさる。

(……こ……この魔法陣の傍にいちゃダメだ……!
 早くここから離れないと……!)

しかし、ここから離れるということは夜の森を歩くことになる。
あんな暗闇に満ちた恐ろしい森の中を殺人者やジョーカーと
出会う恐怖を押し殺して歩かねばならないのだ。

(そ……それでも、ここにいるよりはマシだよ……!
 いざとなったら、透過の力で隠れれば良いし……!
 こんなところで殺人鬼がいつ来るか怯えながら過ごすより、
 ホノカやマユラを探して移動した方がまだ前向きのはず……!)

探索も終わったことだし、こんな城からはさっさと出ていってしまおう。
ヒカリは袋を背負うと、脱兎の如く城から逃げ出すのだった。


【A-1/城/1日目 1:30~】

【ヒカリ@ナヤマ一族】
[年齢]:15
[状態]:健康
[武器]:包丁
[防具]:ミスリルの盾
[所持品]
・ヒカリの袋
 ・基本支給品一式
 ・調味料各種
 ・治癒の魔石×3
[思考・状況]
1.ホノカ、マユラと合流して守ってもらう
2.シオンは見つけたら保護する
3.魔法陣の傍は危険だから近寄りたくない

※光を透過する『透過の力』が使えます。
※ヒーリングの魔法が使えます。
※城に首輪を捧げると起動する転移用の魔法陣があることを知りました。
 この殺し合いの場にはいくつか同じ魔法陣があると考えています。


『参加者・ジョーカーの現在地』
genzaichi_rowa037.png


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