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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 029.化け物の嘆き

「……どうしよう……迷っちゃった……」

額に第三の眼を持つ異形の少女レミルは、
半泣きになって呟いた。

金髪の赤いドレスを着た少女(ナターシャ)の襲撃を
何とか切り抜けたレミルだが、全力で逃げてきたせいで
現在地を見失ってしまったのだ。

それでも、最初のうちは湖の近くのはずだと、
楽観して進んでいた。
しかし、後で地図を90度回転して見ていたり、
方位磁石の北と南を間違えていたりと、
とんでもない間抜けをやらかしていたことに気が付き、
その頃にはレミルは完全に森で迷子になっていた。

鬱蒼とした森は夜の闇に包み込まれており、
今にも何かが出てきそうな不気味な雰囲気だった。

「う……うぅ……」

辺りを包む暗闇に、レミルは怯えていた。

レミルは夜や暗闇が嫌いだ。
それは元々レミルが怖がりということもあるが、
大きな原因はレミルのトラウマにあった。

レミルは現在住んでいる町に来る前にも、
他の町で生活していたことがあったのだが、
そこで忌み子であることがバレて殺されかけたのだ。

信頼していた人たちから裏切られ殺されかけ、
町を追われた後に、外で過ごした闇夜の冷たさ。
あのときの孤独と絶望を、暗闇は思い出させるのだ。

レミルは、びくびくしながら森の中を歩き続けていた。

「うぅ……暗いよぉ……やだよぉ……!
 早く、森から抜けたいよぉ……!」
「殺し合いの場で殺人者より暗いのが怖いってか?
 呑気なガキだなぁ、オイ?」
「ひっ!?」

いきなり背後から聞こえてきた声に、
レミルは飛び上がって後ろを振り返る。

そこには、黒髪黒服、褐色肌の禍々しい鎧を着た男が立っていた。

(い……いつの間に……!?)

レミルは周りを警戒して歩いていたつもりだったのに、
声をかけられるまで、この男の存在にまったく気が付かなかった。

男はニヤニヤと手にした斧をチラつかせながら、
レミルの目の前にやってくる。

「あ、あの……オジサンは……?」

目の前に迫ってくる男に、レミルは怯えて後ずさる。

殺し合いの場で気配を殺して近づいてきて、
斧を片手にニヤつきながら迫ってくる男。
そんな男に恐怖を抱くなというほうが無理な話だ。

自然とレミルの手は、腰に差したオリハルコンの短剣に伸びる。

「俺か?俺はボルク。この殺し合いのジョーカーさ」
「……っ!」

ジョーカーと聞いたレミルは、すぐに腰の短剣を抜くが、
ボルクは短剣を持ったレミルの手を思いっきり蹴り飛ばした。

「あっ……!?」

レミルの短剣は森の中に蹴り飛ばされて、
見えなくなってしまった。

「おいおい、いきなり物騒なもん抜こうとするなよ。
 そんな行儀の悪いガキにはお仕置きが必要だなぁ?」

ボルクがレミルの胸倉を掴んで、持ち上げる。

「や、やめっ……!」
「おらっ!」

ボルクは逃れようとじたばた暴れるレミルを
投げ飛ばして、木に叩き付ける。

「あぐっ!?」

背中を強打したレミルはたまらず悶絶する。

「……あ、ぎ……いぅぅ…!」
「そぅらっ!」

痛みに悶えるレミルの腹に、ボルクは容赦なく蹴りを叩き込んだ。

「がっ……!?げほっ、ごほっ……!」

お腹を押さえて蹲るレミル。
ボルクはそんなレミルに容赦なく蹴りを浴びせる。

「ひぐっ!?」

悲鳴を上げる少女に、再び蹴りが飛ぶ。

「い、ぎぁっ!?」

何度も、何度も、何度も。
少女の小さな身体が蹴り飛ばされ、
ボールのように跳ねて転がっていく。

「げふっ!?がはっ!ご、ほっ……!」
「ははは、どうしたっ!
 おらっ!少しは抵抗して見せろよっ!
 このまま蹴り殺しちまうぞ、オイっ!」

笑いながら、ボルクはレミルを蹴り飛ばし続ける。

夜の森に、鈍い音と男の下卑た笑い声、
少女の悲痛な悲鳴が響き渡る。

そして、数分後……。

「……ひ、ぅ……ぐすっ……!」

ボルクに何度も蹴り飛ばされたレミルは、
その小さな身体の全身に痛々しい青痣を作り、
泣きながら地面に這いつくばっていた。

「うぅ……あぅぅ……!」

レミルは何とかボルクから逃げようと必死に身体を動かすが、
そんな哀れな少女の背中をボルクは思いっきり踏みつけた。
背骨を砕かんほどの衝撃に、レミルは悲鳴を上げる。

「おいおい、何逃げてんだよ?
 もうちょっと付き合ってくれよ」
「ひっ、……や、やだ……!もう嫌だぁっ!」

じたばたともがくレミルを面白そうに見下ろしながら、
ボルクはレミルの髪を掴んで、ぐいっと顔を上げさせる。

「い゛ぅっ……!」
「ふぅん……忌み子だって聞いてたが、
 顔立ちは悪くねぇな。どれ……」

ボルクはレミルの額の布を外して、
レミルの三つめの眼を露出させる。

「あっ……!?」

レミルは反射的に布を取り返そうとするが、
布は手の届かないところに放られてしまう。

「……なるほど。こんな目を持ってちゃ、
 確かにまともに暮らしていけねぇな。
 どう見ても、化け物だ」
「……!」

ボルクの心無い言葉が、レミルの心を引き裂く。

『化け物』と恐怖と嫌悪の目で見られ、信頼していた友人や、
親のように慕っていた人に裏切られ、傷つけられた記憶が蘇り、
レミルの眼から恐怖によるもの以外の涙が溢れてくる。

「何泣いてんだよ、化け物?
 人間みたいな真似してんじゃねぇよ、気色悪い」
「……う……、うぅ……!」

ボルクの『化け物』という言葉に、レミルは耳を塞ごうとするが、
ボルクはそれを許さず、レミルの腕を捻り上げる。

「痛っ……!」
「おい、化け物。
 お前、正体を隠して人間の町に棲み付いてるらしいな?
 どうせ、いつか正体がばれて殺されるだけだってのに、
 物好きなもんだぜ」
「……や、め……て……!」

昨日まで優しくしてくれた人たちが、
武器を手に襲い掛かってくる、恐怖と絶望。

正体がばれたときの恐ろしさを身を以て
知っているレミルは、ボルクの言葉に恐怖する。

「今までだって、そうだったんだろ?
 どんだけ同じことを繰り返してるんだ?
 いい加減、諦めて学習しろよ?
 まったく頭の悪い化け物だなぁ、オイ?」
「……う……うぅ……!」

残酷な言葉を叩き付けられ、レミルの瞳から涙が零れる。
しかし、レミルは涙を流しながらも、ボルクを睨む。

(……諦めるなんて……できるわけない……!
 絶対……いつか、必ず人間と……!)

いつか、必ず人間と一緒に暮らせるようになる。
額の眼を隠さなくても、人間と仲良くなれる。

そうなることがレミルの夢であり、生きる目的なのだ。
それを諦めることなど、できるはずがない。

しかし、ボルクはレミルの耳に顔を近づけて、
悪意に満ちた声で囁く。

「……おいおい、いい加減にしてくれよ?
 お前のような化け物に好かれる人間の気持ちも考えてくれよ?
 人間にすり寄ってくるなよ、この薄汚い化け物が」
「!……う、ぁ……」

ボルクの侮蔑の言葉に、レミルの顔が悲痛に歪む。

薄汚い化け物。気色の悪い魔物。

今まで何度も言われてきた言葉。
そして、何度も悪夢で聞いた言葉。

お前は人間とは違う、化け物だと、
レミルは言われ続けてきたのだ。

その言葉は、レミルが抱く夢と希望の根幹を崩す、
猛毒のような言葉だった。

「……お前は、人間とは違うんだよ。
 人間と分かり合うことなんて、一生できない。
 一緒に暮らすことなんざ、絶対に不可能だ」
「……そ……そんな……こと、ない……!
 私、だって……に……人間と……一緒、に……!」

人間とは違う、という言葉に傷付きつつも、
レミルはボルクの言葉を否定しようとする。

しかし、その声に力は無く、哀れなほどに震えていた。

それでもレミルは、そこだけは譲れないと、
ボルクの言葉を再び否定しようと、顔を上げる。

「……あ……」

しかし、顔を上げたレミルの目に映ったのは、
こちらを見る、蔑んだ人間たちの視線。

自分に優しくしてくれた人たちの、恐怖と嫌悪の視線。

それは、今までにレミルが出会った
全ての人間から向けられていた。

レミルが以前に住んでいた町の人間たちはもちろん、
現在住んでいる町の働き先の酒場の店主、協会のシスター、
そして、一番仲良くしていたはずのスラムの子供たちまで。

『気色悪い』
『薄汚い化け物』
『人間とは違う』
『相容れない』

「……あ……あ……あ、あぁ……!?」

今まで何度も『いつか必ず人間と仲良くなれる』と
自分に言い聞かせ、信じ続けていたレミルだが、
心の奥底では『人間と仲良くなるなんて不可能なのではないか』と
いう思いが常に存在していた。

しかし、レミルは胸中の不安を押し殺して頑張り続けた。
自分の夢を諦めたくなかったからだ。
自分の夢が実現不可能だと、認めたくなかったからだ。

だが、今、レミルの夢は否定された。
あり得ない、不可能だと、人間たちに否定された。

それによって、レミルが辛うじて抱いていた脆い希望は
粉々に砕かれ、散ってしまった。

「……い、や……だ……」

レミルはぶるぶる震えながら、頭を抱える。

「……私、……いや……、ち、がう……!
 だめ……やだ……嫌、だ……!」

レミルの顔は蒼白になり、見開いた瞳からは
涙がぽろぽろと零れ落ちる。

「い、や……いやああぁあぁぁぁぁアアァァァっっ!!?」

レミルは奈落に落ちていくような絶望に耐え切れず、絶叫した。




「……ふぅん……見てる側からじゃ分からんが、
 効いてるみたいだな、この『幻惑の魔石』は」

目を見開いて泣き叫ぶレミルを鑑賞しながら、
ボルクは感心したように手に持つ魔石を見る。

幻惑の魔石。
相手に幻覚を見せて惑わす効果を持つ魔石であり、
相手がもっとも恐怖するものが目の前に現れるらしい。

レミルの今までの様子から、おそらくは人間たちに蔑まれ、
否定される幻覚を見ているのだろう、とボルクは見当をつける。

見ると、レミルはいつの間にか叫ぶのを止めて、
肩を震わせて、俯いていた。

そんなレミルの肩に優しく手を置いて、
ボルクは陽気な口調でレミルに声をかける。

「よう、ようやく自分が独りだと気が付いたか?
 化け物のくせに夢見てんじゃねぇよ、クズが」
「ひ、ぅ……あぁ……ああぁぁぁぁ……!」

ボルクの言葉に、レミルは耳を塞ぐように頭を抱えて泣き始める。
ボルクはその哀れな姿をしばらく鑑賞していたが、
ふと何かを思いついたような顔になる。

「……おい、化け物。良いことを教えてやろうか?」

ボルクはニヤニヤしながら、レミルに言葉を向ける。
レミルは緩慢な動作でボルクに涙に濡れた顔を向ける。

「う……うぅ……?」
「いいか?
 お前が失敗したのは、人間と対等に接しようとしたからだ。
 だが、お前が自分は卑しい存在だと身の程を弁えて、
 人間様に誠心誠意奉仕するつもりで接していけば、
 もしかしたら、人間様もお前を傍に置いてくれるかもなぁ?」
「……!」

レミルの目に、僅かに光が宿る。
それを見て取り、ボルクはほくそ笑む。

「……わ……わ、たし……どう、すれば……?」

涙に濡れた顔で縋るようにこちらを見てくるレミルに、
ボルクは勿体付けるように考え込む様子を見せる。

「へへへ、そうだなぁ……。
 ああ、そういえば、お前を何度も蹴り飛ばしたせいで
 靴が汚れちまったんだよなぁ……。
 ……よし、とりあえず」

ボルクはレミルの眼前に自分の靴を突きつける。

「おら、舐めろ」
「……え……?」

レミルは戸惑うように、ボルクの顔を見上げる。

「『え?』じゃねぇよ。
 お前のせいで、俺様の靴が汚れちまったんだぞ?
 犬のようにべろべろと舐めて、綺麗にしろや」
「そ……そんな……!」
「早くしろや。嫌なら、お前は一生独りのままだぞ」
「……あ……、う……」

レミルはしばらく茫然とした表情のままで固まっていたが、
やがて、のろのろとボルクの靴に顔を近づける。

そして、震えながら舌を伸ばして、
泥と汚れに塗れた靴を舐め始めた。

それを見たボルクは、堪え切れずに笑い始める。

「く……くく……!ははははははっ!
 本当に舐め始めやがった、コイツっ!?
 何だよ、オイっ!?プライドねぇのかよっ!?
 そこまでして、人間様の傍にいたいのかよっ!?
 気色悪い化け物だなぁっ!?ひはははははっ!」
「……う……、ぐすっ……!ひ、ぐっ……!」

耐え難い侮辱と嘲笑の言葉を浴びて、
レミルの瞳から再び涙が零れ落ちる。

人間の聞くに堪えない醜い笑い声を聞きながら、
忌み子の少女は屈辱の奉仕を続けた。

そして、レミルの小さな可愛らしい舌が
黒ずんだ汚らしい靴の汚れを舐め取り始めて、
数分後……。

レミルが靴の汚れを全て舐め取ったのを確認すると、
ボルクはその靴でレミルの頭を踏み躙り始めた。

「ひっ……!?」
「どんだけ時間かけてんだ、愚図が。
 化け物の上に愚図とは、救いようがねぇな」
「……ご……めん、なさい……!
 ごめん……なさい……!」

足蹴にされて、泣いて謝るレミルを愉快そうに見下ろしながら、
ボルクは続けてレミルに命令する。

「じゃあ、次は服を脱げ」
「……な……!?」
「何を驚いてやがる?
 化け物が人間のように服を着てるなんて、
 おこがましいと思わねぇのか?
 化け物は化け物らしい恰好をしろや」

あまりにも酷い言われ様に、レミルの頭は真っ白になる。

(……な、んで……こん、な……)

自分はただ、額の眼を隠さずに人間と一緒に
暮らせるようになりたかっただけなのに。

それなのに、どうして、こんな奴隷以下の、
家畜同然の酷い扱いをされなければならないのか。

忌み子の自分は、そこまで貶められる存在なのか。

「……おい、何をしている?早く脱げ」

一向に服を脱ごうとしないレミルに苛立ったのか、
ボルクは低い声でレミルを恫喝する。
その声に、先ほど痛めつけられた恐怖を思い出し、
レミルは震える手で服を脱ぎ始めた。

「……、う……うぅ……!」
「へへへ……」

少女が恥じらいながら震える手つきでゆっくりと服を脱ぐ様子を、
ボルクはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら鑑賞する。
服を脱ぐ姿を男性に見られていることに耐え難い恥辱を感じ、
レミルは顔を真っ赤にして、目を強く瞑る。

「化け物が恥じらってるんじゃねぇよ、気色悪い」
「!……うぅ……ぐすっ……」

ボルクの言葉が、レミルの心を再び傷付ける。

裸体を晒すことを強要され、恥じ入る姿すら卑下され貶められる。
繊細で多感な年頃の少女には、残酷な仕打ちだった。

やがて、レミルの一糸纏わぬ裸身が晒される。
本来であれば、その姿は瑞々しく眩しい、白い裸身だったのだろう。
しかし、先ほど酷く痛めつけられたレミルの幼い身体には、
あちこちに目を背けたくなるような痛々しい青痣が存在していた。

僅かでも良心のある者ならば、例えレミルの額の眼を見たとしても、
その哀れな姿には幾ばくかの同情を抱くはずであった。

しかし……。

「……じゃあ、次は四つん這いになれ。
 化け物が人間のように二本の足で立つなんざ、
 許されることじゃねぇからな」
「……っ、……」

ボルクという男には、良心の欠片も存在しなかった。

レミルはボルクの命令に僅かに身体を震わせるが、
既に抗議の声を上げる気力も残っていないのか、
言われるがままに地面に手を付いて四つん這いになる。

「おらよっと」

その四つん這いになったレミルの背に、
ボルクがどかっと乱暴に腰を下ろす。

「あぐっ……!?」

大の男、しかも斧に鎧、盾の重装備をした男が
いきなり背中に馬乗りになってきたせいで、
レミルは悲鳴を上げて、地面に潰れてしまう。

「おい、何潰れてやがる?早く起き上がれよ」
「う、ぐっ……!な、何で……こん、な……?」

意味が分からないという様子のレミルを見て、
ボルクは馬鹿にしたようにふん、と鼻を鳴らす。

「薄汚い化け物を馬代わりに使ってやろうっていう、
 人間様のありがたい気遣いが分からねぇのか?
 おら、早く起き上がって、人間様を運ぶんだよ」
「!?……そ……そん、なの……!」

無理だ、とレミルが抗議する前に、
眼前に斧が勢い良く叩き付けられた。
息を呑むレミルの頭上から、底冷えのする声が響く。

「……おいおい、まさか、その程度のことも
 できないとかほざくつもりじゃないだろうな?
 その程度の役にも立たない、愚図な化け物なら
 ここでバラバラに解体して殺しちまうぞ?」
「ひ……!?や、やりますっ……!やりますからっ……!」
「なら、さっさと立ち上がって歩けや。
 愚図愚図してたら、尻を引っ叩くからな?」
「……うぅ……ぐすっ……!ひっく……!」

ボルクの無慈悲な命令に、レミルは泣きじゃくりながらも
渾身の力を込めて、何とか立ち上がる。

「!……ぐっ……!う、うぅぅ……!」

しかし、辛うじて立ち上がることはできたものの、
レミルの手足はあまりの重さにがくがくと震える。
それでも、レミルは力を振り絞って、よろよろと歩き出した。

と、すぐにボルクの平手がレミルの尻をばしん、と叩く。

「ひぃっ……!?」
「遅ぇんだよ、愚図がっ!!
 もっと早く動け、化け物っ!!」

怒鳴るボルクに、レミルは慌てて速度を上げる。

(……う……ぐ……あ、ぁぁ……!)

手足にかかる凄まじい重圧に、筋肉や骨が軋んで悲鳴を上げる。
しかし、速度を落とすとボルクの怒号と平手が飛んでくる。

レミルは死にもの狂いで背に乗せたボルクを運ぼうとするが、
大の男を背に乗せて、四つん這いのままで移動するなど、
13歳の幼い少女であるレミルにできるわけがないし、
そもそも、レミルのような少女にやらせることではない。

すぐに手足が限界になるが、そんなことは知らんとばかりに
速度を落とすレミルの尻にボルクが思いっきり平手を放つ。

「おら、どうしたっ!?
 また速度が落ちたぞ、愚図がっ!
 そんなに殺されたいのか、アァ!?」
「ひ……う……!うあぁっ……!あぁぁぁ……!」

あまりの苦しさに、レミルはすぐに音を上げてしまう。

(……辛、い……!苦……し、い……!嫌、だ……こん、なの……!
 ……お願、い……!だ、れか……助、け……て……!)

息を切らしながら、必死で移動を続けるレミルは胸中で助けを求める。
しかし、化け物の自分を助けてくれる者などいないと気が付き、絶望する。

自分は一生、人間にこんな酷い扱いをされて
無様に生き続けるしかないのだと。

よろよろと手足を動かし、尻を平手で叩かれて悲鳴を上げる。
拷問のような酷い仕打ちに、レミルは声を殺して泣き続けた。


【B-1/森/1日目 1:00~】

【レミル@忌み子】
[年齢]:13
[状態]:全裸, 疲労(大), ダメージ(大), 精神ダメージ(大), 全身に青痣
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・なし
[思考・状況]
1.絶望している(方針を考える余裕が無い)


【ボルク@連合構成員】
[年齢]:28
[状態]:健康、レミルに騎乗
[武器]:大地の魔女の斧
[防具]:聖王の盾、悪魔の鎧
[所持品]
・ボルクの袋
 ・基本支給品一式
 ・幻惑の魔石×4
・レミルの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.レミルを虐めて楽しむ(飽きたら殺す)
2.殺し合いを楽しむ


※B-1の森には、以下のものが落ちています。
・レミルの服
・レミルの下着
・レミルの額の布
・オリハルコンの短剣


『参加者・ジョーカーの現在地』
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