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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 024.焚火の邂逅

森の中をシオンは必死に逃げ続けていた。
しかし、後ろから追ってくる足音は消えず、
その気配は少しずつ近づいてくる。

(……嫌だっ……!嫌だっ……!殺されるっ……!
 誰かっ……!誰か、助けてっ……!)

助けを求めるシオンの頭に浮かぶのは、両親の顔。
そして、自分をいつも助けてくれる魔術師のマユラの姿だった。

しかし、いくら祈ろうが彼らは現れない。
シオンは恐怖に狂いそうになりながらも、
助けを求めてあちこちに目をやる。

そして、幸運にもシオンは夜空に登る焚火の煙を見つける。

(……人だっ!あそこに人がいるっ!)

あの焚火の場所にいけば、助けてもらえるかもしれない。
希望を見つけた幼い少女は、走り続けてほとんど残っていない
体力を振り絞り、その焚火の元へと足を進めるのだった。




焚火で服を乾かしながら、ルルフェは考えていた。

(……やはり、使うべきですね……)

ルルフェに支給された道具である、ハイネクタル。
これは、魔力を完全回復する飲み薬だ。

ルルフェが悩んでいたのは、これを使うかどうか。
そして、ルルフェは使うべきだという結論を出した。

(……今の私は重傷を負い、体力をかなり消耗している。
 魔力だって、強敵と戦うには十分とはいえない)

この状態で他の参加者に出会うのは危険だ。
ならば、まずは魔法で身体の傷を回復させて、
その後にハイネクタルで魔力を回復するべきだ。

貴重な回復アイテムをこんなに早く消費してしまうのは
抵抗があるが、現状では使わなくては死ぬ危険がある。

やむを得ないと、ルルフェは自分にヒーリングの魔法を
かけるために立ち上がり……。


がさがさっ……。


「っ!?」

背後から聞こえた音に、ルルフェは即座に振り返って身構えた。

(くっ……!間の悪いっ……!)

やはり、焚火の煙に釣られて他の参加者がやってきたらしい。
もしくは、ジョーカーか。

どちらにせよ、こんなことなら早く回復をしておくのだったと
ルルフェは後悔する。


がさがさっ。


(……来ますか……!)


がさっ!


森の茂みを掻き分けて、ルルフェの前に音の主が現れる。
それは、薄い紫色の髪に白い服を着た幼い少女だった。

(……子供?)

予想外の闖入者の姿に、ルルフェは目を丸くする。

「……た……助、けて……!殺、され……る……!」
「……!」

息を切らして涙目で助けを求める少女の声を聞き、
ルルフェは表情を引き締める。

この少女の怯えた様子から察するに、おそらく何者かに襲われたのだろう。
ならば、近くにこの少女を襲った者がいるはずだ。

「……まず、こちらに」

ルルフェは少女の手を取って後ろに下がらせ、
少女のやってきた方向を警戒する。

「……誰かに襲われたのですか?」
「……お……女のっ……人……!お姉さん、より……、
 ちょっと、下くらいで……!ナイフで、いきなり……!」

息を切らしながら喋る少女の言葉を聞いて、ルルフェは考える。

ルルフェより年下の少女がナイフでこの子供を襲った。
しかし、この子供は何とかここまで逃げてきた、と。

「……貴女はどうやって逃げ延びたんですか?支給品でも使って?」
「……わか、んないっ……!私、死にたく……なくって……!」
「……分かりました。傍を離れないでください」

少女の混乱した様子を見て、ルルフェは会話を打ち切る。
ここまで怯えた様子の子供が、冷静に支給品で応戦できたとは思えない。

大方、相手が丸腰の子供を殺すのを躊躇して、
その隙にまんまと逃げられたといったところか。

(……おそらく素人だとは思いますが、油断は禁物ですね。
 今の私の状態では、素人相手でも万が一ということもあります)

ルルフェは油断なく茂みの奥を睨み付け、相手を待つ。


…………。


……数分が経過した。
襲撃者はまだ現れない。

「…………」

身構えていたルルフェは、構えを解いた。
それを見て、少女が不安そうな目を向ける。

「……大丈夫、襲撃者は退散したようです」
「……ほ……本当……?」
「ええ。もう大丈夫です」
「……よ……良かった……」

ルルフェの言葉に、少女はようやく安心したのか、
脱力して座り込んでしまった。

そんな少女を見ながら、ルルフェは考える。

(……こんな子供まで、参加させられているなんて……)

どうやら思った以上に、ロクでもない催しらしい。

ともあれ、ようやく出会えたまともな参加者だ。
この子が落ち着いたら、さっそく情報交換をするとしよう。




焚火から遠ざかるように森の中を走る影が一つ。
もちろん、その正体はシオンを襲った奴隷の少女キイだ。

(……失敗した……他の参加者と合流させてしまった……)

あの子供だけならまだしも、1対2では分が悪い。
キイは特別な力など何もない普通の少女なのだから。

……いや、むしろキイは食事にも満足にあり付けない日々を
過ごしていたため、普通の少女よりも身体能力が低い。

キイが普通の少女よりも勝っているのは、心に宿した決意のみ。
必ずこの殺し合いで最後まで勝ち残り、人生をやり直すという、
人殺しすら厭わぬ漆黒の覚悟のみなのだ。

(……これから、どうしよう……)

できれば、あの少女を殺して支給品を奪っておきたかったが、
今となってはそれも叶わない。

迷った末、結局キイは他の参加者を探すことにした。
あの子供以外の、例えば自分と同じかそれ以上の体格の参加者に
自分の持つ頼りないナイフだけで勝てるのかという不安はあったが、
かといって臆していても仕方が無い。

力の無いキイは最初から積極的に動き、力となる支給品を
集めなければ勝ち目は無いのだ。

(……別に子供じゃなくても……不意を突けば、私にだって……)

右手に持つナイフを握り締め、キイは暗い森の中を進む。
奴隷から解放されて、幸せになるために。


【C-4/川の近くの森/1日目 1:00~】

【ルルフェ@魔術師】
[年齢]:16
[状態]:ずぶ濡れ、ダメージ(大)、疲労(大)、魔力消費(中)
[武器]:海の魔女の剣
[防具]:精霊のローブ
[所持品]
・ルルフェの袋
 ・基本支給品一式
 ・ハイネクタル
[思考・状況]
1.紫髪の少女(シオン)と情報交換をする
2.濡れた服と身体を乾かす
3.アルフィを探す


【シオン@ナヤマ一族】
[年齢]:7
[状態]:疲労(中)、右肩に打撲
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・シオンの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.「助かった……」


【キイ@奴隷】
[年齢]:14
[状態]:疲労(小)
[武器]:古竜の牙のナイフ
[防具]:回避の霊符
[所持品]
・キイの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.殺し合いで生き残り、10万Gをもらう
2.他の参加者を探して襲う


『参加者・ジョーカーの現在地』
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