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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 034.さようなら モヒ仮面

D-1の森の中に響く、怒号と悲鳴。
そして、度重なる爆音の嵐。

美しい黒髪を持つ魔術師の女性と、
パンツ一丁の仮面を付けた変態の戦い。

その戦いはまさに一方的であり、
それは既に戦いではなく、蹂躙だった。




「メガバーン!」

ちゅどおおおぉぉぉん!!

「ひゃっはあああぁぁぁぁっ!!?」

「ブラストレイ!」

ずばあああぁぁぁぁぁ!!

「ひゃはっほぅああぁぁぁぁっ!!?」

「サイクロン!」

びゅおわああぁぁぁぁ!!

「ひゃほらべっぱああぁぁぁぁっっ!!?」

ナヤマ一族の魔術師マユラが続けざまに放つ、
強力な爆発魔法、熱線魔法、竜巻魔法の嵐。

それらを受けるたびに、モヒ仮面は宙を舞って、
地面に叩き付けられていた。

そして、何度目かになる空中遊泳からの紐無しバンジーの後、
モヒ仮面は虫の息で大地に突っ伏していた。

「はっ!思い知ったかしら、ゴミクズ以下の変態がっ!
 こんな可愛い子を襲おうとした罰よっ!
 そのまま、干からびるがいいわっ!」

マユラは優雅に髪を手で掻き上げて、
倒れたモヒ仮面に指をびしっと突きつける。

「……さぁ、生きる価値の無いゴミは片づけたわっ!
 さっそく、あの子を介抱してあげなきゃねっ!
 まずは服を脱がして、外傷の確認からよっ!」

マユラは嬉々として、気絶した銀髪ボロ服の少女にすっ飛んで行く。

「ふふふ……!
 さぁ、お姉さんがしっかりと治療してあげるからねぇ……!」
「う……う~ん……」

と、そこで少女がそこで目を覚ます。
ぱちくりと瞬かせた目に映るのは、荒い息で迫る女性の姿。

「……ひっ!?」

息を呑んで飛び起きる少女。

「……え、あ……起きちゃったの?」

それを見て、マユラは残念そうな表情を浮かべる。

「お……お姉さん、誰っ……!?
 わ……私に、何しようとしてたのっ……!?」

少女を完全に怯えた様子で、涙目でマユラから後ずさっている。
その態度に、子供好きのマユラはちょっと傷付く。

「い……いやいや、別に変なことはしようとしてないのよ?
 ただ、あの変態に襲われていたから、
 どこか怪我してないかな~って心配して……」
「変態……?……っ!
 そ、そうだ……!私、襲われて……!」

マユラの言葉に、少女は自分に何が起こっていたのかを
思い出して、はっとする。

「も……もしかして、お姉さんが助けてくれたの……?」
「そ……そうっ!そうなのよっ!
 だから、何も心配しなくていいのよっ!?」
「そ……そうなんだ……」

見るからにキョドっているマユラの様子に、
若干不審の目を向けつつも、少女は一応納得した。

「えっと……助けてくれて、ありがとう……。
 その……それで、あの変な人は……?」
「ああ、あのゴミならあっちに……」

マユラはモヒ仮面が倒れている場所に視線を向ける。

「……あれ?」

しかし、そこにモヒ仮面の姿はなかった。

(……逃げた?いえ、あのダメージで動けるはずは……)

マユラはあの変態に徹底的にダメージを与え、動けなくした。
回復アイテムか回復魔法でも使わない限り、逃げることは不可能だろう。
そして見たところ、あの変態はパンツ一丁でアイテムの類は持っていなかった。
だからといって、回復魔法が使えるとは思えない。

ならば、考えられる答えはたった一つ。

「なんてこと……!あの変態、まさかパンツの中に
 回復アイテムを隠し持っていたなんて……!」
「え、えぇっ!?」

戦慄するマユラと、その言葉に驚いて顔を赤らめる少女。

「……まぁ、逃げてしまったものはしょうがないわ。
 それよりも、貴女、お名前は?」

モヒ仮面のことはもう終わったものとして、
頭を切り替えたマユラは、少女に名前を尋ねる。

「え……?えっと、私は……コーっていいます」
「コー?変わったお名前ね。
 でも、なかなかハイセンスで良いと思うわ。
 私の名前はマユラ。ナヤマ一族の魔術師よ。
 ちなみに、絶賛、義妹募集中よ!」
「……それ、募集するものじゃないですよね……?」

コーはマユラに突っ込みを入れながら、思う。

(……なんとなく分かってたけど、
 この人、やっぱり変な人だ……)

一応は自分を助けてくれたらしいが、
果たして、どこまで信用できるのだろうか。

(……とにかく、油断はしないようにしないと……。
 気を付けないと、また騙されるかもしれないし……)

そう考えて、コーはこの殺し合いの場に来る前のことを思い出す。

両親を事故で失い、途方に暮れていたコーを
引き取ってくれた近所の老夫婦。
しかし、老夫婦はコーを引き取ってすぐに、
コーを奴隷商人に売り飛ばしてしまった。

騙された、とコーが気が付いたときには、もう遅く、
コーは奴隷として買われ、買い手の家に運ばれていった。

しかし、そこから先の記憶がコーには無い。
おそらく、運ばれる途中で何者かに捕まって、
この殺し合いに放り込まれたのだろう。

そして、殺し合い開始早々に恐ろしい変態に
追い回されて、死にもの狂いで逃げ回るハメに。

そこまで思い返してみて、コーはげんなりする。

(……これ、不幸ってレベルじゃないよね……)

どうしてこうなった、自分の人生。

思わず涙目になってしまうコー。
しかし、次の瞬間、コーは何か暖かいものに包まれる。

「……泣かなくても大丈夫よ、コー。
 貴女は、私がちゃんと守ってあげるから」

コーは、マユラに優しく抱きしめられていた。
コーは驚くが、しかし抵抗する気は起きなかった。
先ほどの変人ぶりは鳴りを潜め、母性を感じさせる
優しい雰囲気がマユラから感じられたからだ。

(……お母さん……)

マユラの温もりに、死んだ母を思い出して、
コーは安らかな気持ちになる。

先ほどまでの暗く沈んだ気持ちが消えて、
久しく忘れていた、誰かに守られているという
安心感がコーの心を満たしていく。

しばらくの間、されるがままになっていたコーだが、
落ち着いてくると、見知らぬ女性に抱擁されていることに
恥ずかしさを感じてきた。

「あ、あの……もう、大丈夫ですから……!」
「……そう?じゃあ、そろそろ別の場所に移動しましょうか。
 もしかしたら、あの変態が戻ってくるかもしれないしね」

マユラはコーを解放すると、荷物をまとめて
移動の準備をし始める。

離れていく温もりに名残惜しさを感じつつも、
コーは先ほどの考えを少し改める。

(この人……変な人かもしれないけど、優しい人だ……)

自分が泣いているのを見て、優しく抱きしめて慰めてくれた。

両親を失い、裏切られ、心が弱っていたコーには、
それは痛いほどに、心にしみる優しさだった。

そして、コーは確信する。
このマユラという女性は、自分を騙したりはしないし、
裏切ることもしないだろうと。

「……さあ、いきましょうか。
 私から離れないようにね、コー」
「……はいっ」

マユラの呼びかけに、コーは弾んだ声で答える。

コーのマユラに対する不信は、消え去っていた。
コーの胸には、この人は大丈夫だ、という確かな信頼が芽生えていたのだ。

そう、この人なら、きっと……。

「……あ、そういえば、コー!
 忘れていたけど、怪我とかしてるんじゃない!?
 さっそく、服を脱いで確認を……!」
「……ひっ!? し……してないっ!してないですからっ!?」

目を怪しく輝かせて迫ってきたマユラに、
コーは怯えた声を上げて、否定する。

「……チッ……」

コーの返答に、小さく舌打ちをするマユラ。

……本当は、コーは膝を擦り剥いていたのだが、
それを言ったら何をされるのか恐ろしかったので、
結局は黙っていることにした。

そんなこんなで、コーのマユラに対する信頼には、
早くもヒビが入ってしまったのだった。




……一方、マユラたちがいる場所から
遠く離れた、C-3エリア。

C-3エリアは主催の本拠地が存在するエリアであり、
殺し合いの最初から禁止エリアに指定されている。

参加者には踏み入ることができない主催本拠地の、
とある一室にて。

「……おい、モヒ仮面の映像が消えたぞ?」
「は?……殺し合い開始から、まだ1時間くらいだろ?」
「いや、でも、ほら……な?」
「マジかよ……つかえねー……」

男たちの話し声と、その眼前に映し出される数々の映像。

それは、この殺し合いの参加者やジョーカーたちの視界映像を
鮮明に映し出している、恐ろしく高度な魔道具であり、
ジョーカーの一人であるゲイルが造り出したものだった。

この映像は、殺し合いの場で死亡した者の分は消えてしまう。
つまり、映像が消えたモヒ仮面は、この殺し合いから脱落したのだ。

「……どうすんだよ、オイ?」
「んー……バレずに、次、投入できね?」

男はちら、と後ろに存在する大勢のモヒ仮面たちに目を向ける。

直立したまま控えるモヒ仮面たちは微動だにせず、
まるで悪趣味な人形のようであった。

「……無茶言うなよ。バレたら、支部長に殺されるぞ?」
「……はぁ……しゃーない、諦めるか……。
 あーあ、アイツに嬲られる参加者を見たかったのになー」
「まぁまぁ、次の放送までの辛抱だって。
 それまで、他の参加者の様子でも見ようぜ?」
「そうだな……おっ、なかなか良い死に様だな、この精霊!」

モヒ仮面の退場に失望していた男だったが、
映し出された夢の精霊の無残な死に様に一転して、
歓声を上げる。

「いや、まったく、ゲイル様々だよなぁ。
 こんな極上の映像を好きなだけ見られる仕事を
 振ってもらえるなんてよぉ」
「……まぁ、一応、参加者の監視って名目だから、
 ちゃんと全体に目を配ってなきゃ駄目だけどな」
「はいはい、分かってるって」

釘を刺す同僚に、適当に答える男。

彼らの頭には、既にモヒ仮面のことなど無い。
与えられた役割を果たせずに退場したゴミクズに
裂く記憶容量など、存在しないのだ。

かくして、変態ジョーカー・モヒ仮面は
早々と殺し合いから脱落したのだった。
……とりあえず、最初の一体は。


【モヒ仮面@変態 死亡(消滅)】
【残り人数 46名(内ジョーカー7名)】


【D-1/森/1日目 1:00~】

【コー@奴隷】
[年齢]:10
[状態]:疲労(中)
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・コーの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.マユラについていく


【マユラ@ナヤマ一族】
[年齢]:19
[状態]:疲労(小)、魔力消費(中)、右足の小指の骨にヒビ
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・マユラの袋
 ・基本支給品一式
 ・ミスリルハンマー
 ・(不明の防具・道具)
[思考・状況]
1.シオンを見つけて保護する
2.コーを守る


『参加者・ジョーカーの現在地』
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