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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 021.猫と脳筋

E-3の川辺で、一人の少女がぼんやりと佇んでいた。

その少女は短めの青い髪に黒服、黒のミニスカートを履いていた。
そして、頭には猫耳が生え、スカートからは猫の尻尾が伸びていた。

彼女の名前はメリィ。
見た通り、人間と猫の魔物との間に生まれた忌み子だ。

「……あーあ、アタシとしたことが人間なんかに捕まって、
 こんな殺し合いに放り込まれるなんてねぇ……」

苛立たしげに足元の小石を蹴り飛ばすが、気分は晴れない。
ではどうしたものかと、メリィは考える。

どうすれば、このイライラを解消できるのか。

(……決まってるじゃん!殺すんだよ、参加者の人間を!
 あの胡散臭い人間の言うとおりにするってのは癪だけど、
 最終的にはアイツも殺してやればいいんだ!)

メリィは耳と尻尾を逆立てて、人間への殺意を露わにする。

どうせ、人間なんてメリィにとっては全て敵なのだ。
同じ殺し合いに巻き込まれた参加者であっても、共感など全く湧かない。

大体、この状況はメリィにとっての日常と大して変わらない。

人間の目を避け、時には戦い、殺して奪う。
忌み子のメリィにとっては飽きるほどに繰り返してきたことだ。

忌み子として生まれた以上、こんな殺し合いに巻き込まれるまでもなく、
自分がいつかは人間に殺されるだろうことは分かっていた。

それでも、メリィは素直に死ぬ気などない。
こんなところで死んでやる気など、一切ない。

(……皆殺しだっ!参加者もジョーカーも
 全員殺して、アタシは必ず生き残ってやるっ!)

殺し合いを生き残る決意を固めたメリィは、
袋を乱暴に掴み、支給品を取り出す。

武器は、トマホークが5本。
近接武器として使用することもできるが、本来は投擲用の斧だ。
メリィの俊敏な動きと合わせれば、なかなか使い勝手の良い武器だろう。

防具は、風の衣。
安物の鎧よりもよほど防御力の高い魔法の衣だ。
それに加えて、身に着けた者の身体を軽くする効果を持つ防具であり、
これもメリィの俊敏さを補助してくれる頼もしい装備だ。

道具は、俊足兎の耳が三つ。
これは食べることで一時的に俊敏さを上げることができる道具だ。
言うまでもなく、これもメリィの長所をさらに引き出す道具である。

(……ここまでアタシにぴったりの物が揃っていると、
 お膳立てされてるとしか思えないね……)

気に入らない、とメリィは思った。

どうやら、自分は舐められているらしい。
ならば、それが思い上がりだということを思い知らせてやる。

(せいぜい好い気になってるといいさ……!
 最後には、これを支給したヤツも含めて、
 皆殺しにしてやるんだからね……!)

メリィは改めて殺し合いの主催者への殺意を漲らせるとともに、
支給品を装備して歩き出したのだった。




E-3の街道を一人の少女が歩いていた。

その少女は青髪を背中まで届くほどに長く伸ばし、
白い服と白のショートパンツを履いていた。

その少女の名前はレティラ。
先ほど述べた通り、容姿だけならごく普通の少女だ。

しかし、それは彼女が右手に持った長大な金棒がなければの話だ。

鬼金棒。
巨人モンスターのサイクロプスが扱う金棒であり、
恵まれた体格を持つ屈強な戦士でもまともに扱うのは
難しい超重量の武器だ。

レティラはあろうことか、その鬼金棒を片手で軽々と
持ち運んでいるのだ。

レティラはニコニコと笑顔を浮かべながら、鼻歌を歌っていた。

「ふっふっふ~、早くこの金棒の威力を試したいなぁ~♪
 これで人間を全力でぶん殴ったら、どんな風に潰れるんだろ~?
 あ~、楽しみだなぁ~♪」

レティラは物騒な台詞を楽しそうに口にしていた。

普通の少女がこんな巨大な金棒を軽々と扱えるなど、あり得ない。
しかし、レティラにはそれが可能なのだ。

彼女は生まれつき先天性の特殊な能力を持っている、
俗にいう『先天性能力者』という存在だった。

先天性能力者の特殊能力は多岐に渡る。
炎や雷を操ったり、光弾やビームを撃つなどの分かりやすい能力から、
傷の回復が異常に早い、睡眠を必要としない、未来を予知するなど、
その能力の形態は様々だ。
(ちなみに、ナヤマ一族の不思議な力もこの先天性能力の一種であり、
 遺伝しにくい先天性能力の中でも珍しい、完全な遺伝性の能力である)

レティラが持つ先天性能力は、異常筋力。
つまり、普通では考えられないほどに優れた筋力を持っているのだ。

その力は人間の範疇に留まらず、そのくせ外見は可憐な少女そのもの。
もはや、筋肉自体が普通の人間とは別物なのではないかと思うほどの
アンバランスな存在だった。

そんなレティラに、鬼金棒という超重量武器が支給された。
他の参加者にとっては、まさに恐怖である。

「……お?」

街道を歩き続けたところで、橋が見えてきた。
そして、その橋に人が……猫耳を持つ青い髪の少女が立っていたのだ。

(……おー、アレが忌み子ってヤツ?)

人間と魔物の混血児。呪われた存在。
話では聞いたことがあったが、実物を見たのは初めてだった。

そういえば、レティラもその異常な筋力ゆえに
よく忌み子と勘違いされることがあった。

まったく失礼な話だ。
自分は立派な人間だというのに。

レティラはそのときのことを思い出して、憤慨する。

(……うん、そうだ。私が忌み子に間違われるのも、
 忌み子って存在がいるから悪いんだ。
 あの子には私に迷惑をかけた責任を取って、
 ぐちゃぐちゃになって死んでもらおう♪)

レティラはそう考え、無邪気に笑う。

(……さあ~、暴れるぞ~♪全力で暴れるぞ~♪
 ここには、私を止めるパパやママはいないんだ♪
 暴れるのを我慢する必要はないんだ~♪)

レティラは、とても嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

生まれてからずっと、レティラはその異常筋力のせいで
全力で暴れるのを両親から禁止されていた。

しかし、この殺し合いの場ではそれが許されるのだ。
レティラにとって、これほど嬉しいことはない。

これから始まる暴虐の宴への期待に、レティラの瞳は爛々と輝いていた。




長大な金棒を担ぎながら笑顔で近づいてくる少女を見て、
メリィは強く警戒して、毛を逆立てる。

(……初っ端から、ヤバそうなのがやってきたな……!
 でも、アタシは負けない……!勝つのはアタシだ……!)

メリィは両手にそれぞれトマホークを持ち、臨戦態勢を取る。


今ここに、二人の人外の力を持つ者の戦いが始まろうとしていた。


【E-3/橋/1日目 0:30~】

【メリィ@忌み子】
[年齢]:14
[状態]:健康
[武器]:トマホーク×2
[防具]:風の衣
[所持品]
・メリィの袋
 ・基本支給品一式
 ・トマホーク×3
 ・俊足兎の耳×3
[思考・状況]
1.参加者もジョーカーも皆殺しにする
2.目の前の少女(レティラ)を殺す


【レティラ@先天性能力者】
[年齢]:15
[状態]:健康
[武器]:鬼金棒
[防具]:なし
[所持品]
・レティラの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の防具・道具)
[思考・状況]
1.全力で暴れまわる
2.目の前の忌み子(メリィ)を叩き潰す


『参加者・ジョーカーの現在地』
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