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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 010.精霊使いと泥少女

「……というわけで、私は殺し合いを止めたいの。
 だからお願い、ソイル。私に力を貸して」

肩まで伸ばした銀髪に青い服を着た10代半ばの少女が、
目の前の少女の形をした泥人形に話しかけている。

銀髪の少女の名はアイシス。
光の精霊ウィスプのマシロ、闇の精霊シェイドのヤミナデと
契約している精霊使いの少女だ。

そして、泥の少女はソイルという土の精霊だった。




殺し合い開始後、すぐ傍に精霊ソイルの気配を感じたアイシスは
支給品の確認を後回しにして、ソイルと接触することにした。

殺し合いを止めるために協力してもらうつもりなのはもちろんだが、
アイシスはもしソイルが殺し合いに乗っているのなら、
無理やり使役して殺し合いを止めさせるつもりだったのだ。

精霊使いであるアイシスは、契約していない精霊でも、
ある程度は言うことを聞かせて使役することができる。

もちろん、相手が嫌がるようなことはしないし、
基本的には同意の上で頼み事を聞いてもらうのだが、
その気になれば、無理やり従わせることも可能なのだ。

(……とはいえ、ソイルなら殺し合いに乗ってる可能性は
 低いと思うけど……それよりも、心配なのは……)

アイシスの懸念は、ソイルが殺し合いに乗っている可能性よりも
むしろ別のところにあった。




そして、場面は冒頭に戻る。

「……というわけで、私は殺し合いを止めたいの。
 だからお願い、ソイル。私に力を貸して」

アイシスのその言葉に、ソイルは首を傾げている。

「……トメル?ナンデ?」

ソイルは不思議そうに、アイシスに問い返す。

(……まぁ、ソイルならそういう反応するよね……)

半ば予想していた反応に、アイシスは苦笑いする。

「えっとね……こんな殺し合いは間違ってるの。
 いけないことなのよ。だから、私は貴女に
 殺し合いを止めるために協力してほしいの」
「……イキモノハ、タベルタメニ、コロス。
 ソレヲトメルノ、ダメナコト、チガウノ?」
「この殺し合いは食べるためのものじゃないの。
 もっと低俗な、おそらくは趣味の悪い娯楽のためのものよ。
 それは絶対に許されないことなの」
「?……ヨクワカラナイ。
 シンダラ、ワタシ、ツチニカエシテアゲルヨ?」

ソイルの返答に、アイシスは内心で頭を抱える。

(……ああ……やっぱり、ソイルに自発的に
 協力してもらうのは、無理かも……)

土の精霊ソイルは死に対する忌避が極端に薄い精霊だ。
中には生死の概念さえ理解してない個体まで存在するくらいで、
高等な知能を持つ生物としては、かなり特殊な価値観を持っていた。

おそらく、このソイルは殺し合いの目的も、
それを嫌がる者の思考も理解できてないだろう。

ソイルの力は、精霊の中でも強い部類に入る。
アイシスとしては是が非でも協力してほしいが、
本人がこの調子ではそれも難しいところだ。

(……どうしよう……殺し合いに乗ってるなら、
 無理やり使役して協力させるところだけど……)

いくらなんでも、何も悪いことをしてないのに
無理やり言うことを聞かせるのは可哀想だ。

仕方なく、アイシスは攻め方を変えてみることにした。

「……じゃあ、ソイルは何か私にしてほしいことはない?
 私が何か貴女の望むことを叶えてあげる代わりに、
 私に協力するというのはどうかしら?」
「……シテホシイコト……」

ソイルは首……どころか、上半身を90度傾けて『ウーン』と悩み始める。
そして思いついたのか、身体を元に戻してアイシスに向き直る。

「……ワタシノスムバショ、ツチノシツ、ワルイ。
 ソイル、ワタシシカ、イナイ。
 ダカラ、ツチヲヨクシテ、ソイル、フヤシタイ」
「なるほど……分かったわ、私に任せておいて。
 じゃあ、そのためにも生きてここから出ないとね」
「ウン、ワカッタ」

ソイルの返事を聞いて、アイシスは安堵する。
何とかソイルの協力を取り付けることができたようだ。
一つ仕事は増えてしまったが、精霊使いのアイシスとしては
精霊の住みやすい土地を作ることは、むしろ望むところだ。

「……じゃあ、協力関係を築けたところで、
 お互いに自己紹介しましょうか。
 私はアイシス、精霊使いよ」
「ツチノセイレイ、ソイルノ、チコリ。
 ヨロシク、アイシス」
「ええ、こちらこそよろしくね、チコリ」

アイシスはソイル……チコリの手を取って、握手をする。

少し時間はかかったが、成果は上々。
この調子で仲間を増やしていけば、殺し合いを止めることも可能なはずだ。

(……マシロやヤミナデとも、早く合流しておきたいわね。
 あの二人なら簡単にやられたりはしないと思うけど……。
 それでも、やっぱり心配だわ……)

二人の力は信頼しているが、万が一ということもある。
何より、長い間一緒にいた親友たちなのだ。
心配するな、というほうが無理な話だった。

(……お願いだから無茶はしないでよ、二人とも……)

アイシスは親友たちの無鉄砲なところを思い出しながら、
二人の身を案じていた。

親友が自分のために殺し合いに乗っているなど、
微塵も考えずに。


【D-3/西側の草原/1日目 0:30~】

【アイシス@精霊使い】
[年齢]:14
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・アイシスの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.殺し合いを止める
2.マシロとヤミナデを探す
3.精霊を見つけたら力を貸してもらう


【チコリ@土の精霊ソイル】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・チコリの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.アイシスに協力する
2.殺し合いにも生死にも興味が無い


『参加者・ジョーカーの現在地』
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