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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 006.魔術師少女の受難

C-5の夜の街道を、一人の少女が歩いていた。
その少女は、炎のような鮮やかな眩しい髪を持っており、
目立ちやすいその赤髪を隠すように深緑色の丸い帽子を深く被っていた。
帽子と同じ新緑のローブを着込んだその少女は憂鬱そうに嘆息した。

「まったく……面倒なことに巻き込まれました……」

その少女の名はルルフェ。
彼女は優れた実力を持つ魔術師の少女であり、
巷ではそれなりに名の知れた冒険者だ。
ルルフェは相棒である剣士のアルフィを探して、
夜の街道を彷徨っていた。

「アルフィは無事でしょうか……。
 彼女がそう簡単にやられるとは思えませんが、
 随分と動揺していたようですし……」

すぐ傍で首輪を爆破されて殺された少女を見て、
アルフィはかなり動揺し怯えていたようだった。

(……というか、いくらなんでも狼狽え過ぎでしょう……。
 それなりに長く冒険者をやっているんですから、
 もう少し毅然としてみせてくださいよ、アルフィ……)

死線を何度もくぐり抜けてきた冒険者にしては、
アルフィのあの態度はいささか情けないのではないかと、
ルルフェは相棒として辛辣な評価を下す。

「……やっぱり、アルフィには私がついてないと駄目ですね。
 早くアルフィを見つけて、合流してあげるとしましょう」

ふん、と得意げに鼻を鳴らして、魔術師の少女は歩みを進める。

「……む?」

そこで、ルルフェは前方の橋に人が立っていることに気がつく。

(……殺し合いの参加者ですか。
 さて、どのようなスタンスで動いているのか……)

ルルフェは目の前の人物が殺し合いに乗っている可能性を
警戒しつつ、その人物へと近づいていく。

しかし……。

「おや、あのときのお嬢さんじゃないか。
 いやぁ、これはこれは、嬉しいことだ。
 あのときの続きに付き合ってもらえるということかな?」
「……っ!」

そこにいたのは、殺し合いの開始前の部屋で
少女の首を爆破した紫のローブを着た白髪の魔術師。
そして、野盗に扮してアルフィとルルフェを打ち倒し、
この殺し合いに巻き込んだ憎むべき敵の一人だった。

おそらく、この男はジョーカーの一人なのだろう。
最初に出会った人物がジョーカーとは、何とも運の悪いことだ。

(くっ……!最悪です……!)

ルルフェは魔術師の男から距離を取り、
腰に差していた支給品の剣を抜く。

「……ほう、『海の魔女の剣』か。
 治癒と浄化の力を持ち、魔術媒体としても使用可能、
 加えて、武器としてもなかなかの業物だな。
 良いものを引き当てたね、お嬢さん」

魔術師の男の言葉に、ルルフェは吐き捨てるように答える。

「……ええ、そうですね。
 もっとも、貴方と出会った分を引くと
 マイナスになった気分ですけど」
「ははは、手厳しいことだ」

男は楽しそうに笑った後、手に持っていた杖を掲げた。

その瞬間、ルルフェの周囲が爆発した。

「がっ……!?」

いきなりの爆発に何の対応もできず、
ルルフェは吹き飛ばされて地を転がっていく。

「おや、どうしたね?
 今のは、ほんの小手調べのつもりだったのだが?」

わざとらしく肩を竦める男に、ルルフェは戦慄する。

(……略式魔術で、メガバーン……!?
 どれだけデタラメなんですか……!)

略式魔術。
魔力の練りや魔術を行う上での必要な動作を短縮した、
文字通り魔術を略式で発動する技術のことだ。

略式ゆえに魔術の威力は落ちるが、発動が早いので、
荒事に携わる魔術師には必須技術となっている。

しかし、略式魔術は簡単な魔術なら習得は容易だが、
高度な魔法の場合は習得難度が一気に跳ね上がる。

メガバーンのような強力な爆発魔法を略式で発動できる魔術師など、
魔術師ギルドで最高位とされている第一階位の魔術師にすら、
ほとんど存在しないくらいなのだ。

「……くっ……!」

ルルフェは痛みをこらえて、立ち上がる。

「ほう、立ち上がるか。
 思ったよりも根性のあるお嬢さんだな。
 ……いや、そのローブのおかげかな?」
「…………」

男の指摘通りだった。
ルルフェに防具として支給された精霊のローブは
ちょっとした魔法なら、ほぼ無効にしてしまうほどの
強力な耐魔術の力を持つローブだ。

これがなければ、ルルフェは先ほどの一撃で
戦闘不能になっていただろう。

「そうかそうか……ならば、もう少し
 激しくしても問題なさそうだな」

そういって、再び略式のメガバーンを放つ。

「ぐぅっ!?」

成す術なく爆発に翻弄され、ルルフェは吹き飛ばされる。

「ほぅら、もう一発だ!」

三度目の爆発が、倒れたままのルルフェを襲う。

「あ、がぁっ!?」

衝撃で、地面をごろごろと転がるルルフェ。
そこを、さらに爆発が襲う。

「ははは、そぉれ、もう一発っ!」
「ひ、ぐっ……!?」
「まだまだ踊ってもらうぞ、お嬢さんっ!?そらそらぁっ!!」
「うああぁぁああぁぁぁぁっっ!!?」

繰り返し放たれる爆破魔法と、その度に吹き飛ばされる少女の身体。
男の嗜虐に満ちた笑い声と、悲痛な少女の悲鳴が何度も橋の上に響き渡った。

「はっはっは、ほらほらどうした、お嬢さん!?
 もう終わりかね!?もっと私を楽しませたまえっ!」
「う……げほっ……ぅぅ……!」

ルルフェは立ち上がろうとするが、激痛で力が入らず、
上体を起こすのがやっとだった。

そんなルルフェの様子を見て、男がわざとらしく溜息を吐いた。

「やれやれ、もう少し歯ごたえがあるかと思ったんだが、
 これは期待外れだったかな?名が知れてるとはいえ、所詮は小娘か」
「!……良い気に、ならないでください、この変質者っ……!!」

男の小馬鹿にした態度にルルフェは激昂し、
お返しとばかりに略式の氷の魔術アイシクルブレードを
倒れた姿勢のままで、男に向かって放つ。

「狙いが甘いようだね、お嬢さん」

だが、地面からいくつも突き出た氷刃はあっさりと男に回避される。

「むっ……!?」

しかし、そこに今度は大量の火球が飛んでくる。
炎の魔法フレイムシャワーの略式魔術だ。

「……誰が、あれで終わりだと、言いましたっ……!?」

驚く男に、ルルフェが笑う。
もっとも、その笑みは痛みで引きつっていたが。

だが、男は再び馬鹿にしたように笑い、火球の雨をあっさりと回避する。

「ただ魔法を乱発すれば良いというものでもなかろうに」
「……そりゃ、そうですよ……!そんな魔術師は、ただの馬鹿、です……!」
「……何?」

ルルフェの言葉を聞いて、男の顔に疑問が浮かぶ。
だが、足元で溶けた氷刃の水が水たまりを作っていることに
気が付き、男は顔を強ばらせる。

「貴様、まさかっ……!?」
「……これで……終わり、ですっ……!!」

男が言い終わらないうちに、ルルフェは略式魔術の
裏で準備をしていた、本命の魔術を解き放つ。

雷の魔法ユピテルサンダー。

略式魔術とは比較にならない強力な魔法の雷撃が男に向かう。
男は慌てて避けようとするが、足元の水を伝って襲いかかる
瞬速の雷撃を回避することなど不可能だった。

「ぐあああぁぁああぁぁぁぁっ!!?」

強力な雷撃をその身に浴びた男は絶叫した。

「……が……あ……」

男は身体から煙を吹き出しながら、力尽きて倒れる。

「…………」

ルルフェは倒れた男をしばらく警戒していたが、
どうやら完全に気絶したようだと判断する。

「……ふう……どうやら、上手くいったようですね゛っ……!?」

身体の力を抜いた拍子に激痛が走り、ルルフェは呻き声を上げる。

「……っつぅ……!まったく……好き放題に嬲ってくれましたね……!」

ルルフェはすぐにヒーリングの魔法で身体の傷を治療し始める。
魔力温存のために治療は必要最小限にしておき、
魔術師の少女は痛みの残る身体に鞭打って、立ち上がる。

「……一度倒した相手と油断したのが、貴方の敗因ですよ。
 第一階位並の実力者のくせに、頭の出来は残念な人でしたね」

先ほどまで、男に散々馬鹿にされていた仕返しとばかりに、
ふふん、とルルフェは得意そうに鼻を鳴らす。

「……さて、このまま生かしておくわけにもいきませんしね。
 さっさとトドメを刺して、先を急ぐとしましょう」

ルルフェは気絶した男へと近づいていき……

「ウガアアアァァァァアアアアァァァァッッッ!!」
「……なっ!?」

いきなり横から聞こえてきた雄叫びに驚いて振り返る。
しかし、振り返るのと同時に脇腹に凄まじい衝撃が叩き込まれた。

「あっ……ぎぃっ!!?」

内臓が破裂したかと思うほどの激痛に、
ルルフェは身を捩って悶え苦しむ。

そんなルルフェを巨大な手が乱暴に掴み上げた。

「……あ……!」

ルルフェの朦朧とした瞳に、醜い巨人モンスターの顔が映る。

トロール。
巨人モンスターの中では弱い部類に入るが、
それでも並の戦士や魔術師では束になっても
敵わないくらいの凶暴なモンスターだ。

ルルフェは名簿の中に、ジョーカーとして
トロールの名が入っていたことを思い出す。

(……そ……んな……立て続けに……ジョーカー、が……?)

ようやく強敵のジョーカーを撃退したと思ったら、
間髪入れずに二体目のジョーカーが現れたのだ。

あんまりな展開に、ルルフェは自分の不運を呪うしかなかった。

「……グヒヒヒ……!」

嬲り甲斐のありそうな少女を手中に収めたトロールは、
にやにやと下品な笑いを浮かべながら、ルルフェの細い胴に
両腕を回し、ぎりぎりと締め上げ始めた。

「いぎっ……!?あああぁぁぁああぁぁぁぁっ!!」

巨人の丸太のような腕がルルフェの華奢な胴を締め上げる。
たまらず、ルルフェは絶叫する。

その悲鳴を心地よさそうに聞き入りつつ、
トロールはさらに力を込める。

「がっ……!?あっ……あぁ……ぁぁぁ……!」

絶叫する少女の声が、急速に力を失っていく。
このままでは殺してしまうと思ったトロールは、
慌てて締め付けを緩める。

殺してしまっては詰まらない。
もっともっと、この少女を嬲り尽くして楽しむのだと、
トロールは邪悪な欲望を滾らせていた。

「……う……あ……あぁ……」
「グ……グフ……!グヒヒ……!」

力を失ってぐったりとしたルルフェを見て、トロールは興奮し始める。
トロールはルルフェに顔を近づけ、頬や首筋をいやらしく舐め回し始めた。

「ジュルル……!ピチャピチャ……!」

べとべとした生暖かい巨大な舌が少女の白い肌にぬるぬると這い回り、
異臭を放つ唾液をぐちゃぐちゃに塗り付けて汚していく。

「……う……ぁ……?」

醜い巨人の舌で肌を汚される不快な感触に、
意識が朦朧としていたルルフェは正気を取り戻す。

「ジュル……!グフ……!ジュルジュル……!」

目を覚ましたルルフェの目に映るのは、視界を埋め尽くす
巨人の醜い顔と、自らの肌を陵辱するべとべとの異臭を放つ舌。

「!?……ひっ……!?いやっ……!?」

あまりのおぞましさに、ルルフェは悲鳴を上げて暴れ始めた。

だが、トロールは嫌がって逃れようとする少女を押さえつけて、
少女の肌をしつこく舐め回し続ける。

「ジュルッ……!ピチャッ……ジュルル……!」
「……~~~~っっ!!……こ、このっ……!」

嫌悪感に耐え切れず、ルルフェはトロールの顔面に火球を叩き付けた。

「ウガアアァァァアアアァァァッッ!!?」

たまらず、トロールはルルフェを思い切り投げ飛ばした。
投げ飛ばされたルルフェは悲鳴を上げながら橋の外へ飛んでいき、
大きな音と水しぶきを立てて、川面に落ちた。

「……がっ……!ごぼっ……!」

ルルフェは川から這い上がろうと必死にもがくが、
男と巨人に痛めつけられたせいで身体がまともに動かず、
そのまま水に沈んで流されていってしまった。




「……グルル……!」

獲物を逃がしてしまったトロールは、不満そうな表情を浮かべる。

「……やれやれ、つまらない結果になってしまったな」

後ろから聞こえた声に、トロールは振り向く。
そこには、ルルフェに倒されたはずの魔術師の男が立っていた。

「まったく……お前さえここに来なければ、
 あのお嬢さんの驚く顔が見られたというのに……。
 これでは、気絶したフリまでした私が馬鹿みたいではないか」

男が心底残念そうに呟く。
そう、男はルルフェにやられたフリをしていただけだったのだ。

男は、ルルフェに一度自分が勝利したと思わせ喜ばせたところで、
もう一度叩き潰して、その鼻っ柱をへし折ってやるつもりだった。
そうして絶望させた少女を、ゆっくりと痛めつけて楽しむ予定だったのだ。

「……グルゥ……!」

トロールが申し訳なさそうに唸る。

「……まぁ良い。まだまだ獲物はたくさんいるのだ。
 逃げた魚は放っておいて、新しい魚を釣り上げるとしよう」

男はそう言うと、トロールを置いてその場から去っていく。

「……グルルゥゥ……!」

トロールも男に習うように、男とは反対のほうへと向かっていった。


【C-5/橋/1日目 0:30~】

【ゲイル@魔術師】
[年齢]:42
[状態]:健康、魔力消費(小)
[武器]:竜の角の杖
[防具]:賢者のローブ、再生の腕輪
[所持品]
・ゲイルの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.参加者を襲う

※ダメージは再生の腕輪で回復しました。


【トロール@巨人モンスター】
[年齢]:不明
[状態]:ダメージ(小)
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・なし
[思考・状況]
1.参加者を襲う






「……がはっ!ごほっ、げほげほっ!……はぁっ……はぁっ……!」

川に流されていったルルフェは、溺れかけながらも必死に岸へと泳いで、
力尽きる前に何とか川から這い上がることに成功していた。

「うぅ……!初っ端から、最悪です……!
 変態に虐められて、エロ巨人に身体を舐め回されて、川で溺れかけて……!
 何だっていうんですか……!?何で、私がこんな目に……!」

ズタボロにされたルルフェは、涙目になって愚痴をこぼし始める。

殺し合いが始まって一時間も経っていないのに、
これでもかというほど、酷い目に遭わされたのだ。

いろいろと文句を言いたくなるのも、仕方が無いだろう。

「……くしゅっ!」

夜風で濡れた身体が冷えたのか、ルルフェがくしゃみをする。

「うぅ……愚痴ってる場合じゃないですね……!
 早く服を乾かさないと、風邪を引いちゃいます……!」

殺し合いの場で体調を崩してしまったら、洒落にならない。
適当にその辺の枯れ枝や落ち葉を集め、魔法で火を付けて暖を取る。

火を使うと、他の参加者に位置を知られる危険があるが、
気温の低い夜に濡れたままで歩き回るわけにもいかない。

他の参加者に見つからないことを祈りながら、
ルルフェは焚火で身体を暖め始めた。


【C-4/川の近くの森/1日目 0:30~】

【ルルフェ@魔術師】
[年齢]:16
[状態]:ずぶ濡れ、ダメージ(大)、疲労(大)、魔力消費(中)
[武器]:海の魔女の剣
[防具]:精霊のローブ
[所持品]
・ルルフェの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.濡れた服と身体を乾かす
2.アルフィを探す


『参加者・ジョーカーの現在地』
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No title

ルルフェ最初がジョーカー二人とかカワイソスwww

No title

コメントありがとうございます!
最初からジョーカー二人に酷い目に遭わされる
ルルフェ、可哀想かわいい。(^ω^ )
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