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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 005.想い同じくも道交わらず

B-3の暗い森の中、木々の間を走り抜ける光があった。
金色の髪と服に白い肌を持つ小さな少女……光の精霊ウィスプである。

「アイシスー!ヤミナデー!どこですかー!?
 いたら返事してくださーい!」

ウィスプは、声を張り上げて森の中に呼びかける。

殺し合いの真っ只中でそのような真似をすれば、
害意を持つ参加者が寄ってくるかもしれない。

だが、そんなことはウィスプにも分かっていた。
それでも、彼女は呼びかけずにはいられなかったのだ。

名簿を確認して、自分の主人である精霊使いのアイシスと、
自分と同じくアイシスを主人に持つ闇の精霊シェイドのヤミナデが、
この殺し合いに巻き込まれていることが分かったのだから。

いてもたってもいられず、ウィスプは二人を探し回っていた。

「……あっ!」

だからこそ、森の中で探し人の一人である彼女の……黒髪と灰色の肌を持ち、
黒服を纏った少女、ヤミナデの姿を見たとき、ウィスプは心の底から安堵したのだ。

「ヤミナデー!」

声を弾ませて、ウィスプはヤミナデの元へと飛んでいく。
ヤミナデもウィスプに気がついたのか、そちらへと振り向く。

「……マシロ……」
「良かったー!無事だったんですね、ヤミナデっ!」

ウィスプ……マシロは喜色満面でヤミナデとの再開を喜んだ。

「よーし、後はアイシスを探すだけですねっ!
 大丈夫です!きっとアイシスも無事ですよっ!
 三人で力を合わせて、殺し合いなんて下らない催しは
 ぶち壊してやるですっ!」

うおー!と両手を高く上げて吠えるマシロ。
しかし、ヤミナデはそんなマシロに暗い瞳を向けるだけだった。

「……ヤミナデ?どうしたんですか?」

ヤミナデの様子がおかしいことに気がついたマシロが、
心配そうに声をかける。

ヤミナデは相変わらず暗い瞳をマシロに向けたままだ。

「……ヤミ、ナデ……?」

ヤミナデの尋常では無い様子に、マシロは数歩後ずさる。

「……マシロ、聞いて」
「……な……何ですか……?」

ヤミナデがようやく口を開き、マシロへと言葉を向ける。
しかし、マシロは全く安心できなかった。
それどころか、嫌な予感がどんどん膨らみ続けていた。

おそらく、マシロは察していたのだろう。

「……私は……」

ヤミナデの次の言葉を聞いてしまったら。

「……殺し合いに、乗るわ」

もう、ヤミナデとは一緒にいられないことに。




「……嘘……です、よね……?」

たっぷり十数秒の時間を要して、マシロはやっとその言葉を口にした。

「…………」

ヤミナデは答えない。

「……答えて、くださいよ……!」
「……っ……」

マシロの絞り出すような声に、ヤミナデの表情が僅かに歪んだ。
その辛そうな顔を見て、マシロにも分かってしまった。

ヤミナデは、本気なのだと。

「……なん……で……?」

マシロは弱々しい声でヤミナデに問う。

「……アイシスを、死なせないためよ」
「……っ!」

ヤミナデの言葉を聞いて、マシロは理解する。

ヤミナデは、アイシス以外の全員を殺して、
アイシスを生き残らせるつもりなのだ。

「……馬鹿言わないでくださいっ!!
 そんなことしなくたって、殺し合いを止めさせて
 皆で帰ればいいじゃないですかっ!!」

堪らずに、マシロは叫ぶ。

「……無理よ」

しかし、ヤミナデはマシロの言葉を冷たく切り捨てる。

「貴女、この殺し合いを開いたヤツらが
 どれほど強大で危険なのか、分からないの?
 40人以上の参加者をこんな下らない
 殺し合いのためだけに集めてきたのよ?
 それだけでもありえないのに、それに加えて
 爆発する首輪とこれだけ大きな島を用意して、
 おまけに支給品まで……」
「……そんなの、関係ないじゃないですかっ!!」

ヤミナデの言葉を、今度はマシロが大声で遮った。

「だから、諦めるっていうんですかっ!!?
 諦めて、アイシス以外を殺すんですかっ!!?
 勝てそうにないからって、諦めて、私まで……!!」

そこで、マシロは泣きそうな顔になって言葉を切る。

『自分まで殺すのか』

その言葉を、マシロは怖くて口に出せなかった。

もしヤミナデにそれを肯定されてしまったら、
きっとマシロはそのことに耐えられないだろうから。

「……マシロ、貴女はアイシスを探して守りなさい」
「……え?」

ヤミナデの言葉に、マシロはきょとんとなる。
その様子に、ヤミナデは苦笑する。

「……貴女は、絶対にアイシスに危害を加えない。
 それが分かっているから、私は貴女は殺さない。
 少なくとも、今はね」

そう告げて、ヤミナデは背を向ける。

「……さようなら、マシロ。
 できれば、二度と会わないことを祈るわ」
「あっ……!?ま……待ってください、ヤミナデっ!!」

マシロはヤミナデを追いかけようとするが、
ヤミナデはマシロに向かって暗闇の魔法ダークネスを放ち、
マシロの視界を奪ってしまう。

「うわっぷ……!?」

マシロは一瞬動揺したが、すぐに光の魔法サンシャインを放って、
ダークネスの暗闇を弾き飛ばした。

しかし、既に周囲にはヤミナデの姿はなかった。

「……ヤミナデ……」

マシロは力なく俯いて、道を違えた友の名を呟いた。




(……まったく、マシロはこんな状況でも相変わらずね……)

マシロと別れたヤミナデは先ほどの様子を思い出し、再び苦笑する。

出会ったばかりの頃は、光と闇という正反対の力を
持つ精霊だということもあり、衝突が絶えなかった。
しかし、アイシスを通じて何度も力を合わせ、
危機を乗り越えるうちに、自然と友情が芽生えていた。

それこそ、お互いがお互いを親友だと胸を張って言えるほどに。

しかし、それでも……。

(それでも、私は……マシロを殺してでも、
 アイシスを生き残らせる……!)

親友を殺してでも、忠誠を誓った主人を生き残らせる。
たとえ、主人がそれを望まなかったとしても。

当然、マシロを殺した後は自害するつもりだ。
最終的にアイシス一人にならないと意味が無いし、
そもそも親友を殺しておきながら、自分だけが
のうのうと生き残るつもりなど、毛頭ない。

(……ごめんなさい、マシロ……。
 文句なら地獄でいくらでも聞くから……)

と、そこまで考えて、地獄へ落ちるのは罪深い自分だけだと
気が付き、ヤミナデは三度めの苦笑を浮かべるのだった。


【B-3/森/1日目 0:30~】

【マシロ@光の精霊ウィスプ】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・マシロの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.アイシスを探して守る
2.ヤミナデを止める


【ヤミナデ@闇の精霊シェイド】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・ヤミナデの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.アイシス以外の参加者を全て殺す
2.マシロは最後に殺す


『参加者・ジョーカーの現在地』
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